アニメーションは子供だけでなく大人も楽しめるエンターテイメントです。ここでは、日本アニメーション業界における最も影響力のある3人の監督をご紹介します。

日本アニメーション番組のパイオニア 手塚治虫

日本のアニメーションの土台を築いたとも言える漫画家・手塚治虫は、1928年に大阪府で誕生します。戦争によってすべてが一瞬で失われる経験をしたことによって、戦争を繰り返さないこと、生命の大切さ、生きる喜びを次世代に伝えることを使命にします。漫画家ではあったものの、ディズニーが提供する初代アニメーション映画「バンビ」「白雪姫」に感銘を受け、アニメーションを志すようになります。1963年には日本初の30分枠アニメーション番組となる「鉄腕アトム」の放送が開始され、自身が社長を務める虫プロダクションがすべての製作を担当します。1965年には「ジャングル大帝」もアニメ化され、本格的なサウンドトラックが業界を驚かせます。医学部で勉強し医師免許まで取得している手塚治虫だからこそ実現可能となった、無免許医師が活躍する「ブラックジャック」は、アニメ化だけでなくドラマ化や映画化、ゲーム化までされた大ヒット社会派作品となりました。

日本と世界の長編アニメーションを変えた宮崎駿

Natasha Baucas / CC BY (https://creativecommons.org/licenses/by/2.0)

世界の宮崎とも呼ばれる日本長編アニメーションの頂点に立つ宮崎駿は、1941年東京都に生まれます。手塚治虫との大きな違いは、宮崎駿は漫画家としてではなくアニメーションの世界で活躍することを選びます。製作スタッフとしてアニメ番組の演出や企画を経験した後、1978年に「未来少年コナン」の監督を、1979年「ルパン三世カリオストロの城」で映画作品の監督デビューを果たします。1985年には徳間書店の出資協力を経てスタジオジブリを設立。アニメーションクリエイターの労働環境向上にも意欲的で、スタッフを社員として雇用します。1980年代に生まれた有名作に「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」があり、現在でも作品とグッズは多くの人に愛されています。1997年に公開された「もののけ姫」で世界の注目を集め、2001年公開の「千と千尋の神隠し」米国アカデミー賞の長編アニメ作品にノミネートされました。

優しいタッチのファンタジーアニメ・新海誠

1973年長野県で生まれた新海誠は、大学在学中からアルバイトをしていたゲーム会社に就職して、深夜帰宅後にアニメ製作を行うという異例の経歴の持ち主です。2002年に初めての劇場公開作品「ほしのこえ」を監督・脚本・演出・作画・美術・編集などすべての作業を自身でこなします。2013年「言の葉の庭」では累計12万人を動員するなど、順調にファンを獲得していきます。2016年に記録的大ヒットした「君の名は。」は、宮崎駿に続いて2人目の興行収入100億円を突破。本作は日本国内以外にも、中国やタイなどのアジア諸国、日本アニメの人気が著しいヨーロッパ圏においても大人気となります。「新海ワールド」と称賛される繊細でファンタジー要素が詰まった作品は、国境を越えてたくさんの人を魅了し続けています。