子どもの頃に一番好きだったアニメは何ですか?一つに絞るのが難しいほど、たくさんある方も多いのではないでしょうか。アニメとはスクリーン上に映し出される連続した動き(モーション)を何らかの道具によって実現させている映像のことを言います。例えば、現在主流のCGを使ったアニメ、セル画や切り絵、人形にクレイ、スライドを使ったアニメなど、種類は様々です。ここでは、アニメの歴史をポイントごとに分かりやすくご紹介します。

フランスからアメリカに広がった世界のアニメ

近代で最初のアニメと呼ばれている「哀れなピエロ」は、1982年フランスのエミール・レイノーによって制作されました。これは、フィルムに別々に描かれた手書きの登場人物と背景をプロジェクターで同時投影するテアトル・オプティークと呼ばれる装置によって上映されました。その後、同じくフランスの風刺画家エミール・コールが「ファンタスゴマリ」を実写部分なしで制作し、事実上、世界最初の純粋な短編アニメーション映画になりました。1920年代半ばからアメリカでアメリカン・アニメーションが活発になり、1937年にはディズニーによる世界初の長編アニメ映画「白雪姫」が発表され、現在のアメリカアニメ産業の基盤となりました。

100年を誇る日本のアニメ

2017年に国産アニメ100周年を迎えた日本のアニメは、古くは平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、絵巻物という形で誕生していました。永遠や真実を描く一点集中型の西洋絵画と違い、時間の経過を含め物語調で描く日本の絵巻物は、まさに現在のアニメの原点と言えるでしょう。大正時代以降、欧米のアニメ映画が日本に輸入されると、1917年に日本で初めての短篇アニメーション映画「凸坊新畫帖 芋助猪狩の巻」が公開されました。太平洋戦争が開始すると、プロパガンダ的なアニメ映画も公開されるようになり、アニメ文化はますます民衆に浸透していきました。

レジェンドアニメが続々登場

戦後1953年にテレビ放送が始まると、1956年にアニメスタジオ「東映動画」が発足したのを皮切りに、1961年には手塚治虫「虫プロダクション」を発足させ、日本で最初の本格的連続テレビアニメ「鉄腕アトム」の放送が開始されました。アトムはアニメの30分放送の基盤を作り、1964年には日本で初めてテレビアニメから長編アニメ映画へのデビューも果たしました。翌1965年には、アメリカでの放送を前提に資金が集められて実現した手塚治虫の「ジャングル大帝」が、日本最初のカラーテレビアニメとなりました。1970年代には「宇宙戦艦ヤマト」シリーズがテレビでも映画館でも大人気となり、今までの「アニメは子ども向け」というイメージを一新しました。

CGとアニメの国際産業化

コンピューターグラフィックス(CGの開発は1960年代より着手されていましたが、CG技術が民衆とアニメ業界の両方に大きく認められるきっかけとなったのが、1995年ピクサー社が手掛けた3D-CG長編アニメ映画「トイストーリー」です。以降、日本でも積極的にCGが採用され、長寿アニメ「クレヨンしんちゃん」「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」、そして1993年には「サザエさん」までセル画からCGに切り替わりました。1999年には「ポケットモンスター」が世界中で大ヒットし、欧米・アジア・南米などでも日本のアニメが幅広い年代で肯定的に受け入れられるようになり、オタクなイメージから最新のトレンドへと変身しました。日本政府はクールジャパンを通して、日本のアニメ(特にアニメに登場するロケーション巡り)を使って外国人観光客の誘致を行っているほどです。